Because we love you | 愛しいカンケイ
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Because we love you

【2009.10.11 Sunday 19:12

 週末、とても大きなお葬式がありました。

それは、まるでマウイ島中が悲しみに沈むような出来事。
お葬式には、マウイ島の住人の五分の一が参列したといわれ、
参列者の列は、朝から夜中の12時を過ぎても、
途切れることはありませんでした。

10月1日の朝早く、
私は友人からの電話で事故の一報を聞きました。

1日から4日まで、マウイ島は例年通り、
マウイ・カウンティ・フェアを開催、
秋祭りの到来に島中が華やいでいた矢先に事故は起こりました。

突然の電話に、私は言葉も出ませんでした。

何の話? 
この間の日曜日に、彼の娘の一歳のお誕生日をしたじゃない?
え、弟と従兄弟もって、どういうこと?
なんで、そんなことになっているの?

9月30日の午後10時半、
我が家から数分のところで起こった事故は、
三人の若い青年の命を奪っていきました。



Na’ilimakuwai’oleokekulamehamehaokaluna’iu’iuokeahua
Jecob Henry Kana

Tyson Kepo’ikai Latham

Kalamakuokana’auao “Tuku” Jared Kana

20歳のNa’ilima(ナイリマ)と
16歳のKalamaku(カラマク)は、
娘のアイナの同級生Kanekapolei(カネカポレイ)の
お兄ちゃんたちでした。

娘たちの学校、Kula Kaiapuni(クラ・カイアプニ)は、
小学校から高等学校までの13年間を一貫して、
ハワイ語のみで教育を行うプログラムです。
小学校以前には、プリスクールとして、
Punana Leo O Maui(プーナナ・レオ・オ・マウイ)で2年、
クラスメイトのほぼ全員が、15年間をともに過ごします。

マウイ島には、クラ・カイアプニは一校のみで、
決して大規模ではありませんが、
地道に母国語と文化を培うことのできるプログラムで、
学年ごとに人数に違いはあるものの、
一クラス10人から20人程度の生徒が兄弟姉妹のように
進学していく姿は、力強さがあります。

学校のシステムはハワイ州の教育システムに準じ、
州立の学校内に位置するクラ・カイアプニには、
家族と教員からなる非営利団体の大きなサポートや、
OHAというハワイ文化復興のための団体に支えられ、
通常の学校のシステムから一線を画した団結があるのです。

独自のシステムを保つことは、決して楽ではありません。
しかし、その結果、学校全体の団結はとても固く、
クラ・カイアプニ・ファミリーの絆は深くなるばかりです。



事故の一報を聞いたあと、秋祭りのパレードの
交通規制を避けるために、娘を学校に迎えに行った私は、
あっという間に、どうしていいかわからない顔の娘と
その同級生たちに囲まれました。

となると、私が、今回の出来事に、
今年のはじめに起こったハーナイ・ママの急な旅立ちを重ねて、
どうしていいかわからない顔をしているわけにはいきません。

「カネカポレイのために何ができるか考えようよ」と提案。

さて、みんなの顔は真剣です。

そこへ、娘たちの担任の先生がやってきました。

助け舟がきた、よかった、と思ったら、
先生は大泣きでした。

「あの子たちがアイナたちぐらいのとき、僕は担任でした。
一生懸命にファンドレイジングをして、
オアフ島に修学旅行に連れていって……」

校庭のど真ん中で、大人二人が大泣きで、
子どもたちになぐさめられる始末でした。

ナイリマは事故の衝撃で即死、
カラマクと彼らの従兄弟のTyson(タイソン)は、
Maui Memorial Hospitalに運ばれましたが、
1日の午後、タイソンが、
三日後の10月4日にカラマクが亡くなりました。

翌日から、週末に向けて、
お葬式の準備がはじまりました。

アイナはカネカポレイのことが気になり、
毎日、カネカポレイと会って話をしたい、
泣いているかもしれないから、と、つぶやきます。
一週間の秋休み中にもかかわらず、
かなり大勢のスクール・カウンセラーに急務が発生したようです。

カネカポレイは六人兄弟の上から四番目、
しっかりとしていて、大人しい女の子です。
カネカポレイのお母さんは、クラ・カイアプニの先生ですが、
続いて生まれた子どもたちのために休職中。
それでも、アイナのクラスの遠足を引率してくれたり、
忙しい担任の先生のサポートをしてくれる頼もしいお母さんで、
数年前にはまだハワイ語がおぼつかなかった私を、
いつも助けてくれる女性でした。

私はアイナに、
「ママは、カネカポレイのママのことを考えると、胸が痛いの。
アンティのときみたいだよ。息もちょっと苦しいし」
と本当のことを言いました。



愛しい人を急に失う苦しみは、
自分を見失うほど苦しいもの。

その苦しみが、また起こっていると思うと、
息ができなくなるほど、胸が痛かったのです。

世の中には、まるで嘘のような出来事は存在し、
一日にして世界が変わるような出来事が起こりえることを、
私たちは子どものころから知っています。
だから、年を重ねれば重ねるほど、悲しみも年をとるのでしょう。

お葬式のお手伝いの合間に、参列のために並んでいると、
カネカポレイがアイナのところに飛んできました。
二人は何も言わずにしばらく抱き合ったあと、
連れ立って歩いていきました。

アイナが少し明るい顔で戻ってきて、
「ママ、カネカポレイね、悲しくないって。
みんなが、悲しいでしょって、カネカポレイに言うけど、
カネカポレイはそんなに悲しくないんだって、
みんなに言いたいけど、言えないって」
と言いました。

私は黙って聞いていました。
カネカポレイはまたアイナのところにやってきて、今度は、
二人は棒のついた飴をなめながら、小声で話し込んでいます。

二時間ほど列に並んだあと、三つの棺の前にたどり着くと、
カネカポレイのお母さんは、息子たちのために、毅然と立ち、
参列者ひとりひとりに挨拶を続けていました。

彼女が、息子たちを愛し続けていることがよくわかりました。
人が愛するもののために、何をも厭わないその姿。

カネカポレイのお母さんは、
「アイナ、来てくれてありがとうね。いつでもまた遊びにきてね」
と言うと、アイナの顔を両手ではさみ、
アイナを静かに抱きしめていました。

夜中を過ぎても、参列者の列が短くなることはなく、
私も担当のテーブルを離れることはできませんでした。
アイナとカネカポレイは並んでサンドイッチを食べながら、
また話し込んでいます。

「ママ、カネカポレイがね、やっぱり悲しいって。
夜になると悲しくなってくるんだって。
毎日、happyもunhappyもあるし、
goodもbadもあるよねって、話していたの」

胸がつまりました。
あまりにもその通りでした。

「カネカポレイに、We love you って言っておいた。
だって、アイナとカネカポレイは、同じクラスだから、
calabash cousinでしょ」

暗闇は、私の涙をいつも上手に隠してくれます。

calabash cousinである、という言葉は、
血がつながってはいないけれど、
家族の関係であることを説明するときによく使われます。

「今日、アイナは一番大好きなことをしないで、
カネカポレイのために一日を使って偉かったね。
きっとカネカポレイとアイナのところに、
happyでgoodなことがくるよ.
それと、ママはアイナに今日も言っておくけど、
ママはアイナのことをどうしようもないくらい愛してるから」

愛する人は、目の前から一瞬にしていなくなることがあります。

まるで夢のように。

それでも、私たちは人を愛します。

……きっと、愛する心は私たちの命だから。



Star Bulletin
Maui News

author : jingujiai
| LOVE our life | comments(6) |

この記事に関するコメント
とてもつらい出来事でしたね・・・
御冥福をお祈りします。。。

なんとも言えません・・・
| mamj | 2009/10/12 8:53 PM |
mamjさん、こんにちは!
マウイ島の住人は約11万人なのですが、本土などから引っ越してきた人を除くと、かなりの人がつながりを持っています。なので、家族という規模がとてつもなく大きいのです。血のつながっていない親戚同士で知らない間に結婚話が進んでいるようなこともあるんですよ。それと、学校、職場などの家族意識も高いので、団結力もすごいんです。お祈りしてくれてありがとうございます。きっと、次の人生に必要とされた、神様に特別に愛されている魂だったのでしょうね。そう思うようにしています。空色庵に書くかどうか迷ったのですが、書きました。この一週間近く、私の心のなかはこれでいっぱいで、他の事を集中して書くことはできないと思ったのです。でも、これで一歩前進です!
| 愛→mamjさん | 2009/10/13 8:13 AM |
こんにちは!

読みながら、私も胸がつまるようでした。
若い命が、急に、消えてしまうこと。
たしかにいつ起こるかわからないし、その危険性はすぐ目の前にあります。
でもどうしても毎日の中で忘れちゃうんです。
今は永遠には続かないと、思ってはいるのですけれどもね・・。

私も5年前に父を亡くしました。
半身不随で、ちょっと肺炎になったから入院するよ〜って連絡があったんです。
でも何度もあることなので、特に気にもせずおりました。
そうしたらある日、たんが詰まってしまって呼吸が止まり、意識がないと電話がはいりました。
そのまま意識がもどることはなく、2か月後に他界しました。

別れは、唐突すぎました。
もっともっと言いたいことあったのに。
今、こうして書いていながらも涙がでてきました。
悔しいです。

だから、だから、毎日思ったこと・・ありがとうとか、大好きとか、その時にすぐ伝えるのを心に決めています。
そのうち言える・・とか、言わなくてもわかる・・とか、無いですよね。
言わなくちゃわからない。

三人が迷わず空へ昇れますように。


追伸
10月にハワイへ行く予定でしたが、ちょっと伸びてしまいました。予定はまだ未定です。

| チカ | 2009/10/13 6:09 PM |
チカさん、ハワイはどうされたかな、と思っていました。
ハワイはいつ来ても気候がいいですから、時期をみて、
ふらりといらしてくださいね。

若い命が消えるのは、本当に胸が痛いですよね。
彼らの家族、同級生をみているだけで、胸が苦しいです。
でも、こういうことさえ、意味があると思うんですよね。

お父様のことも、チカさんにお父様が残された教えというか、
きっと深い愛情なのだと思います。

そう、伝えなくてもわかる、という状態は、
伝える努力をしたうえでのこと、と私も思います。
私たちは特に自分の身近の人に、
まあ、いいか、あとで言えば、とか、
今度言えるし、とか、やりがちですよね。

チカさんや、私たちの決心って、すごくすごくこれから
大切なことなのだと思います!

コメント、どうもありがとう〜
| 愛→チカさん | 2009/10/14 2:42 AM |
アイナちゃんが、お兄さまを亡くした友だちのために、一生懸命に精一杯で寄り添っている姿に、なんだか涙がでてきます。神様は乗り越えられない苦難は与えないと言いますが、大切な存在が、突然目の前からなくなってしまったあとの喪失感は、どう考えたらいいのでしょう?喪の作業をしながら考え続けて、そして明日も、がんばって生きていくことを続けていくんですよね。
| 谷澤 | 2009/10/14 9:55 PM |
谷澤さんのおっしゃること、すごくわかります。
ほんとに、こういうことがあると、
神様って乗り越えられない苦難を与えないっていうじゃない!って
空に向かってさけんじゃいます、私。
特に今回は20歳や17歳ですもん。
カネカポレイはとても大人しい子なので、なんとなく心配でしたけど、
アイナはすごく友達想いの子なので、そういうとき、
ただ一緒にいてあげるんですね。
彼女の家と我が家は結構近いので、いつでも遊びに来てね、と
言っておくように言いましたけど。
谷澤さん、これ、彼らの家族がお葬式のプログラムに書いたものです。
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The Broken Chain

In life we loved you dearly,
In death we do the same.
It broke our hearts to lose you.
You did not go alone,
for part of us went with you,
the day God called you home.
You left us peaceful memories.
Your love is still our guide,
and though we cannot see you
You're always at our side.
Our family chain is broken.
Adn nothing seems the same
But as God calles us one by one,
the chain will link again.
| 愛→谷澤さん | 2009/10/15 2:33 AM |
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神宮寺 愛
writer & coordinator
(J.U.One Corporation)
'ōlapa(Pā'ū O Hi'iaka)
@ Maui, Hawaii