愛しきフラダンサー・ライフ | 愛しいカンケイ
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愛しきフラダンサー・ライフ

【2009.10.23 Friday 04:22

 私は、すでに目の前にある、しなくてはいけないことは、
基本的に、どんなことでもするタイプ。

その結果、
「なんでそんなことしたの!?」「最悪!」「危ないよ〜」
と、後々、言われることもあります。

そのような出来事は、
魑魅魍魎の多い業界である出版社勤務時代には、
数限りないのですが、何故かフラダンサーになってからも、
「マウイ島でフラダンサーなんて素敵なご職業ですね」
と、すんなりはいかないようです。

しかし、どんな職業も、
他の人からは想像できないことがあるものです、ハイ。



フラを学んでいるみなさんも、多少のご経験があるかと思います。

葉っぱ一枚、花一輪のために、
木登りやロッククライミングをする羽目になったり、
一瞬にしていままでのボディ・ケアが台無しになったとか、
ダンサーでなくてストリッパーになってしまったとか、
徹夜で衣装作りをしたときに、指と衣装を縫いつけたとか。

「こんなはずではなーい!」という出来事は起こるもの。

私も、舞台から落ちる、迫(せり)にはまる
舞台の袖の壁に激突などの事故的なものから、
汗ですべって、持っていた楽器を観客に投げつけてしまったり、
踊っている最中に酔っ払った観客にからまれ、
つい、からみ返すなどの自己的なものまで、
種類豊富に取り揃えてございます。

さて、今回は、私の体験した、
フラダンサーのフラダンサーらしからぬこと、Best 3を
ご紹介しようかなと思っております。

その一・チャイニーズ・アクロバット
その二・皿回し
その三・ネット販売

ふっふっふ、楽しそうでしょう〜。

まずはその一から解説をいたしましょう。

実は、ワタクシ、中国四千年の歴史を少々。
中国のお祭りには欠かせない、金糸銀糸をまとった、
チャイニーズ・ライオンの前足と後足を踊れるのです。

日本の獅子舞ならともかく、なぜ、中国の獅子舞を?

それは、私が今年の一月までの三年間、
毎晩踊っていたカアナパリ・ビーチ・ホテルの
マジック&フラ・ディナー・ショウでの仕事が発端。

もちろん、チャイニーズ・アクロバットのアクターとして
働いていたのではありません。
古典のフラ、モダンなフラ、合わせて8曲を、
カクテル&ディナー・タイムに踊るフラダンサーでした。

ただ、ショウが、単なるフラ・ショウではなく、
マジック&フラ・ショウだったために、ダンサーは、
マジックを手伝うことにはなっていましたが……。

あるとき、マジシャンがこんなことを言い出しました。
「ハワイは様々な移民文化が融合している、
私たちのショウでもそれを表現しよう!」

そこで、ショウの一幕がチャイニーズ・マジックに変更。
しめしめ、その一幕は一休みできる、と思ったのは
ワタクシの大きな間違いでした。

次の日から、チャイニーズ・アクロバットの練習です。
ダンサーのなかで体重が軽いほうから二人目であった私は、
リフティングされることが可能だったため、
チャイニーズ・ライオンの足になることに。


できれば、日本の獅子舞の練習をしたかったのですが……

アクロバットといっても、足になるのなら、
腰をかがめて小さくなって歩けばいいのかな、と思ったら、
それはまたしても大きな間違い。

日本の獅子舞とは違って、中国の獅子は暴れん坊。
動く速さは数倍早く、舞の間はいつも走っており、表情は豊かで、
間髪をいれずに、横転やら、後足でたちあがって、
前足で飛びかかるなどが定番なのです。

私は、獅子が走るときは、前を見ることのできない後足を担当。
獅子が後足で立ち上がり、前足で飛びかかる仕草のときは、
後足担当者の股下をくぐり、前足になって開脚ジャンプし、
後足に受け止めてもらうというリフティングの技を、
ええ、立派なアクロバットをすることに。

前足になるということは、金銀財宝をくっつけた
巨大な獅子の頭を持ち上げていないとなりません。
後足担当者にリフトしてもらうとはいえども、
彼の両腿や肩から、さらに高く開脚ジャンプをしたとき、
バランスを保つのは並大抵のことではありませんでした。

ジャンプをするときには、私だけの脚力ではなく、
後足担当者が弾みをつけてくれるため、
自分の身長の倍以上の高さまで飛ぶことができるのです。
その高さから、目で見て確認することのできない、
受け止めてくれる腕を頼りに、後足担当者の両腿に着地。
二人のタイミングと息が合うまで、練習あるのみです。


できれば、練習の合間には休みたいのですが……

おまけにチャイニーズ・ライオンは顔で見得を切るそうで、
おめめはパチパチ、口はパクパクと、
頭のなかにある仕掛けの紐を動かさなければなりません。

さすが、中国四千年!と半分自棄になりつつ、
ダンサーのなかでは一番年上なのにとつぶやきつつ……。

ダンサーはステージの上でしなくてはいけないことを、
さっさと何でもやりなさいが常套句のアンティ・ケアラのもと、
ほとんど根性ですね。

この恐ろしい一幕のための練習が続き、
私たちの獅子舞もなかなか見ごたえがでてきて、
ハワイアン・ドラムを叩いていたダンサーが
チャイニーズ・ドラムをすっかりマスターしたころ、
マジシャンと舞台監督が、今度は何を言い出したかといえば、

「う〜ん、皿を回すのもやってもらわないと、時間がかせげないな」

な〜に〜!?!? 皿回し!?!?

そういう口はさっさと閉めて、皿回しの練習開始。
その二、皿回しの術習得へ。

皿を回しながら、踊る、踊る、
なんと三年間の間に皿を落としたのは一回、
皿をはじいて高く飛ばし、棒で受け止めるときに、
棒ではなく顔で受け止めたことは二回のみ。
おでこに青あざ二回で済みました。
かなり優秀な皿回しでございます。


日本にいたら間違いなく宴会芸として役立つかも!

体が痛いことこのうえないのですが、うれしいことに、
チャイニーズ・ライオンも皿回しも娘に大好評で、
「大きくなってフラダンサーになったら、
ライオンと皿回しやる!」と言っておりました。

なんでもやる気があるというのはよいことです。

さて、体力勝負だけかと思いましたら、
最近はネット販売業もしております。

その三、ネット販売業に至った理由は簡単。
ハワイのほとんどのフラ・ハーラウはお金がないからです。
(フラ・ハーラウはフラとそれにともなった文化を学ぶところ)

ダンサーはショウで踊ることで報酬が発生しますが、
それはダンサーに支払われる個人収入です。
もちろん、フラ・ハーラウに仕事の依頼が入り
収入がハーラウの運営に当てられることはありますが、
ほとんどのハーラウはことあるたびに、
「ファンドレイジング(募金活動)」を行うのが普通。

たとえば、フラのコンペティションに出場する場合、
フラを学ぶための研修に行く場合など、
必ず、ファンドレイジングが必要になります。

実は、私たちは現在ファンドレイジングの真っ最中。

私の所属するカノエアウ・ダンス・アカデミーの
日本の姉妹ハーラウ、ナー・プア・リコ・ヴァイ・ホオラが、
来月、マウイ島で開催される、
子どものフラのコンペティションに出場するため、
彼らの必要経費を集めないといけないのです。

お金がないからと言って、あきらめるぐらいなら、
はじめから何もしなければいい、
必要なお金は作りましょう!というわけです。

とにかく、何でも売るしかありません。

マウイ島では食べ物がよく売れるので、
食べ物を売ることが多いのですが、
今回は日本で売り上げをあげることが目的ですから、
なんと、マルコム・ウォング氏作の吹きガラスを販売中。


Dearingと美味しいお酒を飲みたいものです

マルコム・ウォング氏はナー・プア・リコ・ヴァイ・ホオラの
クム・フラ(フラの先生)のジュンコ・ウォング先生のパートナー、
高額な吹きガラスのアートを寄付してくださいました。
ハワイ大学の芸術学部で吹きガラスを専攻し、
ホノルル・アカデミー・オブ・アーツにも飾られている彼の作品、
私は大好きで、家に飾ってあるくらいなんですよ。

自分が好きなものを売るのは楽しいですからね、
せっせと日本にいる友人たちにメール。
美味しいお酒を飲むにはグラスが肝心と、
セールストークに磨きをかけております。

とはいえ、ライターの仕事以外のパソコン作業は肩こりの原因、
おまけに、結構な作業量。

そこで、これじゃあ私、フラダンサーじゃないみたい!
と叫びそうになっていた私に、
敬愛するカメラマンの永野佳世さんが、こんなメールをくれました。

――オノ・ヨーコの有名な警句がありますよね、

“ひとりで見る夢は夢でしかない。
しかし誰かと見る夢は現実だ”

「じつは、こんな夢を見たんだよね」と
まず隣人に話してみることから始まる物事の、
チャーミングな実例を見せてもらった気がしたのです――

私のしつこいセールスメールにこんなお返事をくださり、
すっかりご機嫌な私。

そう、夢は夢として語られたときから、夢ではなくなり、
現実に向けて歩きだすのである〜、と信じつつ、
本日もフラダンサーをがんばっております!

author : jingujiai
| HULA to live | comments(4) |

この記事に関するコメント
愛さん。おもしろい体験の物語、はまりました。ライオンの足も皿回しも、愛さんの文章で読むとスペクタルですね。

さて素敵なグラスの紹介ありがとうございます。私、シャンパンとかスパークリングワインとか、大好きです。どうやったら手に入るのか、教えてください。
| 谷澤 | 2009/10/23 10:11 PM |
ライオンの足は一人ではできませんが、皿回しだったら、
宴会に呼んでいただけそうですよね〜。
本当に、慣れるまではアザだらけでしたよ。
とりあえず、体は毎日痛いですし。(笑)
でも、何でも、そういうこともあるさぁ〜、ですよね。

グラス、いろいろ写真があります。
タンブラー、ゴブレット、ワイングラス、シャンパンフルートなどです。
手作りなので、全部形が違ったり、
一斉にいろいろな人が売っているので、写真どおりのものが
必ずあるということにならなかったりするのです。
私が知人たちにお願いメールをしたものとかに、
ファンドレイジングの目的などを書いたものがあるので、
さっそくメールしますね!
| 愛→谷澤さん | 2009/10/24 8:21 AM |
初めまして。橋屋と申します。

フラダンスって、見た目の華やかさの裏には、やった人でないと分からない苦労があるのですね。物事なんでもそうですが、見るとするとでは大違いですね。

おまけに獅子の足をしたり、皿回しをしたりと、舞台に上がると何でもやらなくちゃいけない。どこの世界も厳しいですね〜。
| 橋屋 渡月 | 2009/10/29 12:59 PM |
はじめまして!
コメント、どうもありがとうございます。
フラダンス、確かに見た目は華やかですよね。
私にとっては、99%が痛いで、1%が楽しいという感じ
なのですが、その1%が魅力でここまできてしまっています。(笑)
伝統芸能はきっとどの文化でもきっとそうなのだと思います。
次回から数回にかけてフラのことを書くつもりでいます。
よかったら、また遊びにいらしてくださいね〜。
これからもよろしくお願いします〜。

| 愛→橋屋さん | 2009/10/29 3:07 PM |
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神宮寺 愛
writer & coordinator
(J.U.One Corporation)
'ōlapa(Pā'ū O Hi'iaka)
@ Maui, Hawaii